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夜間中学と日本の教育の未来[2019/09/08 日 AM 09:31]

 先月末、日本共産党中央委員会主催で「イージス・アショア対策会議」が行われました。

 会議の前に、中央委員会近くの美和書店に立ち寄り、埼玉県に夜間中学を作る会・川口自主夜間中学編「夜間中学と日本の教育の未来」を購入し、帰りの新幹線の中で読了しました。

 この本には、文部科学事務次官の際に、前川喜平さんが2016年10月「埼玉に夜間中学を作る会・川口自主夜間中学31周年集会」で行った講演が収録されています。

 前川さんは、憲法26条「すべての国民は、法律が定めるところにより、その能力に応じ、ひとしく教育を受ける権利を有する」について次のように解釈しています。

 「国籍があるかないかに関わらず基本的人権は持っています。基本的人権というのは人間であるから必ず保障されなければならないもので、国籍がなんであろうと基本的人権はすべての人が持っています。したがって教育を受ける権利もです。これは国籍に関わるものではないと思っております。この条文の解釈について、『いや国籍を持っている人だけのことだ』と解釈する人もいます。しかし、国際人権規約というものがすでにありまして、日本国はそれに加入していますから、国際人権規約に基づいて、教育を受ける権利は国籍に関わらず、条約上の人権義務をすでに負っております。したがって、憲法が保障するかしないかに関わず、条約上の人権保障の義務として、いずれにしても国籍を問わず教育を受ける権利を保障することは、行政の責任としてあるということを確認しておきたいと思います。」

 前川さんは、その上で、こう述べています。

 「『すべての人に教育を受ける権利を保障する』と憲法にありますが、実際にそうなっておらず、その人権保障から漏れ落ちている人たちが少なからず存在するのです。

 前川さんは、「人権保障から漏れ落ちている人」の事例を列記しています。

 第一は、「義務教育を修了していない人たち」です。前川さんはこう述べています。

 「国勢調査では小学校を卒業していない人は捉えられているんですけれども、中学校を卒業していない人のことは把握できていません。そこのところを把握できるようにしてくれと、前から文部科学省も総務省にお願いしていますが、小学校に行っていない、あるいは卒業していない人が12万人いるということがわかっています。さらに小学校を卒業しているけれど中学校を卒業していない人を加えたら、もっと増えるのは明らかだと思っています。

 第二は、「形式卒業者」等です。前川さんはこう述べています。

 「卒業証書をもらっているけれども、実はほとんど勉強していなかったという人たち。そういう義務教育未修了者の人たちが存在している、これは、もう夜間中学の関係者の方々はよく知っておられることです。学齢の児童生徒に関しても、ずっと不登校のままだという子どもがいるわけです。それから居所不明のどこにいるのかわからなくなっている子どもたち、あるいは戸籍を持たない人たち、これも少数でありますけれどもいます。」

 第三は、「定住外国人」です。前川さんはこう述べています。

 「外国籍の中には不法滞在(オーバーステイ)の人もいます。親の責任でオーバーステイの人もいます。親の責任でオーバーステイになっていることはあるんでしょうけれど、しかし子どもの教育を受ける権利は保障しなければいけないと考えております。私共はオーバーステイの子どもたちが公立学校に入りたいと言ってきた場合に、その滞在資格は確認しなくていいと言っています。教育委員会に対しては『そこに住んでいることだけ確認できれば学校に入れてください』とお願いしています。オーバーステイかどうか確認してくださいと言ったとたん、その親は子どもを学校によこさなくなるでしょう。これでは子どもの学習する権利が実現できなくなるということです。」

 前川さんは、その上で、夜間中学の役割を記した文科省の通知を示して次のように述ています。

 「ここに『今後は不登校のためにほとんど学校に通えないまま学校の教育的配慮により中学校を卒業した者(要するに形式卒業者と言われる人たち)に教育の機会を提供していくことも期待』と書いています。『形式卒業者も夜間中学に入れます。入れてください』という通知を文部科学省が出しました。そのことじたいは非常にいいことですけれども、31校しかないのに、そんなこと言っていいのかという思いもありました。『入っていいですよって言ったって、入るところがないじゃないか』という話ですね。文部科学省のこの通知は、出したことは良いことだと思いますが、ある意味無責任な通知です。行くところないのに『行っていいですよ』と言っているのですから。ですからこの通知を出したからには、各県に必ず作ることに踏み出さないと、この通知をなぜ出したのかという話になると思います。」

 前川さんは、夜間中学の役割について次のように述べています。

 「憲法の求める教育を受ける権利の保障、義務教育の補償、それを現実に実現する上で非常に重要な役割を負ってきたと思っています。」

 前川さんが文部科学省を退官された後も、文部科学省は、各都道府県に夜間中学をとの動きを強めています。

 私は、憲法の求める教育を受ける権利を保障する上で重要な役割を持つ夜間中学を山口県内にも設置すべきだと思います。

 私は、今月、12日に、隣の広島県広島市にある夜間中学を見学する予定です。

 山口県に夜間中学を求める様々なご意見を是非、私に届けて下さい。

 

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