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一発屋芸人列伝[2018/06/28 木 PM 04:34]

 NHKラジオ「すっぴん」金曜日。高橋源一郎さんの「ゲンじゃんの現代国語」で紹介された本は気になって可能な限り読むようになりました。

 その一冊が山田ルイ53世著「一発屋芸人列伝」です。

 この本は、「新潮45」に連載された文章をまとめたもので、雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞しました。

 私は、子どもの頃からお笑いが大好きでした。今でも、可能な限りお笑い番組を見ています。

 この作品で取り上げられた「レイザーラモンHG」「コウメ太夫」「テツandトモ」「ジョイマン」「ムーディ勝山と天津・木村」「波田陽区」「ハローケイスケ」「とにかく明るい安村」「キンタロー。」全て「エンタの神様」などでリアルタイムで観ていた芸人さんばかりです。

 作者の山田ルイ53世は、「髭男爵」の一人で、「ルネッサーンス」で一世を風靡した芸人さんです。

 一発屋芸人が一発屋芸人を取材をしたからこそ、一発屋芸人の光と影が刻銘に記された本だと言えます。

 先ほど、紹介したように、この本は雑誌ジャーリズム賞作品賞を受賞しました。

 一人ひとりの芸人がしっかり掘り下げられてあり、文章も秀逸です。

 例えば、「コウメ太夫」さんの章では、こんな行があります。

 「失礼を承知で言えば、全てが的外れ。しかし、言い方を変えれば、『必ず的を(外せる)』ということでもある。一度『的を外すことが正解』とルール改正が行われれば、全てが正解になるのだ。」

 「ジョイマン」さんの章では、こんな行があります。

 「一見、安易で稚拙と思われがちな彼らの芸だが、全く脈絡の無い二つの言葉を並べ、韻を踏み、かつ笑いも取るこの『大喜利』の難易度は高い。何故なら少しでも『意味』が生じた瞬間、ただの駄洒落と堕すリスクを常に孕んでいるからだ。そもそも、意味を見出し思考の拠り所とするのが人間の本能。それを避けて通る彼らの押韻スタイルは、誰にでも真似出来る代物ではない。」

 「とにかく明るい安村」さんの章では、こんな行があります。 

 「この『全裸ポーズ』、ワンアイデア勝負のトリッキーな一発芸ではない。ポーズを決めた瞬間⑦、小気味よく響く『ヘイ!』の効果音は、言うなればツッコミの役割を果たしている。昨今は頭を叩いたり、練り込まれたフレーズでボケの発言を訂正するのが主流であるが、本来、表情や語気、正確な『間』が伴っていれば、『おい!』の一言でも十分ツッコミたり得るのだ。加えて、構成も秀逸。まず、冒頭に披露する『全裸に見えるポーズ』で、『こういうことですよ』とネタの見方、ルール説明をする。一通りギャグをやり終えると、本日のダイジェストと称し、『ヘイ!』の連発で全裸ポーズを畳み掛ける。そのテンポ感は、ピン芸と言うより、良く出来た漫才、優れたコントを思わせる。面白いと同時に心地よい。」

 山田ルイ53世さんは、名門中学校に入るも不登校となり、大検で国立大学に入るが、中退した過去を持つ方です。

 彼の不器用だけれどひたむきに生きる姿と一人一人の芸人さんの人生とがクロスして文章に深みを感じます。

 この本の帯には「それでも、人生は続く」とあります。

 人生は常に順風満帆ではありません。

 わが人生も紆余曲折がありました。

 頂点とどん底を経験した多くの一発屋芸人一人ひとりの人生から学ぶことは大です。

 この本全体が人生の応援歌です。

 芸人で作家といえば、又吉直樹さんです。

 山田ルイ53世さんも、文筆家としての実力は計り知れないものがあると感じます。

 彼の「ヒキコモリ漂流記」を読みで見たいと思いました。

 今後も彼には、お笑いだけではなく、文筆家として次の作品に期待しています。

 この本を読みながら、映画「火花」のエンディング曲ビートたけしさんの「浅草キッド」の曲が頭の中を流れました。

 人生はほろ苦いものですね。今も輝き続けている一発屋芸人の皆さん方でした。

 皆さんも是非、山田ルイ53世著「一発屋芸人列伝」をお読みください。

 感想をお聞かせ下さい。

 

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