環境と福祉の充実を目指して

川の光[2018/06/12 火 AM 07:24]

 ここ数日、文庫版が発刊された松浦寿輝著「川の光」を読んでいます。

 文庫裏表紙のこの本の概要を引用します。

 「『ねえ、お兄ちゃん、川は眠らないのかな』『川は眠らないよ。いつもいつも流れつづけているんだ』-せせらぎに守られた川辺の暮らしは、突然の工事で終わりを告げる。新天地を求め旅に出たネズミ一家は、やがて大冒険をすることに—チッチが跳ね、タータが走り、タミーが飛び出す!島津和子氏によるイラスト多数収録」

 今、読んでいるのは、ネズミの一家が住んでいた川で暗渠にする工事が始まり、住処を追われる場面です。

 チッチとタータのねずみの兄弟にとって、住処であった川は母親代わりでした。

 お父さんねずみは、なぜ川に住むのか語ります。

 「チッチと同じ白っぽい毛色をしていた優しいお母さんは死んでしまったけれど、その後は、いわば川がタータの母親だった。このせせらぎに守られているかぎり、どんな危険も身に及ぶことはないような気がした。タータはいちど、人気にもっと近いところに住んだ方が便利じゃないのと、お父さんに訊いてみたことがある。」「『たしかに、人間の家の床下や屋根裏に住むネズミもいる』とお父さんは答えた。『そりゃあ、その方が便利かもしれないよ。台所の流しだの、蓋のずれたポリバケツだのから食べ物を掠めとるにはね。ぼくら一族もむかしはそんな暮らしをしていたらしい。でもね、ぼくらのご先祖のなかに、あるときここにやってきて、川岸に住もうと決めたネズミがいた。彼は、穴を掘り、仮りの棲みかを作った。その子どもたちが穴を延ばした。孫たちが部屋を広げた。そうやって長い年月がたつうちに、だんだんここが本物の家になっていった。なあ、ぼくらは川に生きるネズミなんだ」

 大きなケヤキが工事のために倒されているのを見て長老のネズミは嘆きます。

 「あんなに太く高くなるまで、何十年も一生懸命に生きて、草を守り、虫を守り、わしらを守ってくれたのに。可哀そうになあ。子どもの頃、毎日あれに登ったり下りたりして遊んだもんだ」

 私は、6月23日(土)午後2時から万倉・今富公民館で行う私を囲む集いの案内に、万倉や吉部の中山間地域を回っています。

 山間の耕地はほとんどが耕作放棄地となり、住んでおられない家も散見されます。

 私の実家(吉部・荒滝)周辺でも耕作放棄地が増え、人口が少しづつ減少してきています。

 何百年かけて、山の中腹まで耕地を先祖の先輩たちは造ってきたのに、この数十年で、中山間地域の風景は激変してしまいました。

 そのような中、富山県から移住してこられた若いご夫婦にお会いしました。

 小学生のお兄ちゃんに「おじさんは、君と同じ吉部小学校の卒業生だよ」と話しました。

 ご主人は林業に従事されているとのことでした。

 その近くには、県内で数少ない、四輪駆動車のコースがあり、経営されている方とお話しました。

 大会の時には県外からの参加者もあるようです。

 先日、宇部市の「立地適正化計画」の説明会に参加したことは本ブログに書きました。

 効率化を優先に考えれば、居住を誘導する手法もあるのかも知れません。

 しかし、何百年も住み続けた土地を放棄しつづける暮らし方でいいのか。

 「川の光」を読みながら、今日の開発優先の在り方に警鐘を鳴らす良著だと感じました。

 中山間地域で暮らしていける、農林水産業を基幹産業に位置づける政策の再構築が求められていると思いました。

 「川の光」のファンの皆さん、感想をお聞かせ下さい。

 

 

コメントはまだありません »

コメントはまだありません。

この投稿へのコメントの RSS フィード。 TrackBack URI

コメントする