環境と福祉の充実を目指して

魂でもいいから、そばにいて[2018/03/11 日 AM 08:09]

 HNKラジオ「すっぴん」でパーソナリティーの高橋源一郎さんが奥野修司著「魂でもいいから、そばにいて 3・11後の霊体験を聞く」という本を紹介していました。

 今、その本を読んでいます。

 私は、霊を信じない方です。真宗門徒ですが、真宗は、縁起の良し悪しなどを問題にしない宗派なので、取り分け、霊のことはよくわかりません。

 作者の奥野さんは、宮城県の医師・岡部健さんから震災で家族を亡くした遺族の霊体験を聞き「近代科学は、再現性があることが原則でしょう?幽霊話はどうも・・・」と感じたと書いています。

 その上で、遺族に取材を重ねた奥野さんは、次のように書いています。

 「これから僕が書こうとしているのは、こうした『不思議な』としか形容できない物語ばかりである。誰にでもわかるという普遍性がないから、それを信じまいと僕はかまわない。再現性もないから、それは正しいかどうかを証明することもできない。ただ僕なりにその人の体験がたしかであろうと判断したものをここでご紹介するだけだ。事実であるかもしれないいが、確実なのは、不思議な体験をした当事者にとってそれは『事実』であるということである。」

 妻と次女を震災で亡くした宮城県の亀井繁さんは、こう語っています。

 「私にとって何が希望かといえば、自分が死んだときに妻や娘に逢えるということだけです。それには魂があってほしい。暗闇の向こうに光があるとすれば、魂があってこそ逢えると思うのです。それがなかったら、何を目標に生きていけばいいのですか」

 これからどう生きていけばいいのか悩んでいた繁さん。

 妻が夢の中でこう語ります。「いまは何もしてあげられないよ。「でも信頼している」「急がないから」「待っている」

 繁さんはこの時の体験を次のように語ります。

 「妻が言ったその言葉の一つ一つがすごくわかるし、何よりも『信頼している』と言われたのがすごく嬉しいんです。とくに『待っている』というのは、私にとっては究極の希望です。みなさんの言う希望は、この世の希望ですよね。私の希望は、自分が死んだときに最愛の妻と娘に逢えることなんです。死んだ先でも私を待っていてくれるという妻の言葉こそ、私には本当の希望なんです。いつか再開できるんだという一縷の希望が持てたからこそ生きてこられたと思います。」

 作者の奥野さんは、「東日本大震災の死者・行方不明者1万8千余ー。」「死者・行方不明者1万8千人という数字も、縁のない人間には、やがて時間とともに無機質な記号になっていくことだろう。妻や子供はいたのだろうか、最愛の人はいたのか、どんな音楽を聴いていたのか、なにもわからないまま記号だけが人から人へと伝えられていく。生きていた1万8千人には1万8千通りの物語があったはずだ。遺された人にも1万8千通りの、いやそれ以上の物語があったはずだ。不思議な体験も、この物語とつながっている。この不思議な体験を聞き取ると同時に、生き残った者が、彼岸に逝った大切な人との物語をどうやって紡ぎなおそうとしたのか、できるだけ多くの記録しておきたい。」と書いています。

 私は、東日本大震災発災の三か月後に、岩手県に災害ボランティアに行った経験があります。

 一面に瓦礫が散乱した被災地を歩いた体験をこの本を読みながら思い返しています。

 「生き残った者が、彼岸に逝った大切なあの人との物語を紡ぎ直している。」

 亀井繁さんの体験を始め、この本から一つでも多くの物語を読み、東日本大震災の記憶を私の中に留めたいと思います。

 東日本大震災と東京電力福島原発事故から7年が経過したこの日を迎え、あらためて犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げます。

 復興に向けて件名の努力を続けておられる被災者のみなさん、自治体のみなさん、そして、被災地への支援を続けておられるみなさんに心からの敬意を表します。

 今日、東日本大震災から7年を迎えます。みなさんの想いをお教えください。

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