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科学・技術の危機 再生のための対話[2016/02/25 木 PM 06:29]

 宗教学者・島薗進さんの論旨に同感し、物理学者・池内了さんとの共著を読んでいます。

 著作名は「物理学者 池内了×宗教学者 島薗進 科学・技術の危機 再生のための対話」です。

 昨年の10月に出版されたものです。

 島薗さんと中島岳志さんとの共著で、戦前、宗教団体がどのような体制で戦争に協力していったかを学びました。

 この本には、科学者たちが戦前、どのような体制で戦争に協力していったかが書かれています。

 池内さんは、「国策の遂行のために『戦時科学報国会』とか、『科学動員協会』に科学者が動員されたのはたしかで、そこにお金がたくさん出たのも事実です。」と書いています。

 島薗さんは、「医療と軍事の結びつきに関して言いますと、やはり旧日本軍の731部隊が大きな問題だと思います。医学者がまったくの軍事目的のために、死をもたらす人体実験を是とする国の方針に従いました。」と指摘した上で戦後のドイツの例を指摘します。

 「ドイツは戦争の時代の科学者のあり方を、深刻に受け止め、厳しく省みざるをえませんでした。その基礎には、ニュルンベルク医師裁判を踏まえたニュルンベルク綱領(1947年)があり、ジュネーブ宣言(1948年)があり、ヘルシンキ宣言(1964年)があります。そして、ドイツではこうした倫理的省察のうえで、詳細にわたる医師職業規則が制定されており、医療倫理についての教育にも力を入れています。」

 戦後の日本の科学者が戦争への関わりを省みた例として、1949年、日本学術会議の第一回総会決議がこの本の資料として掲載されています。

  「われわれは、文化国家の建設者として、はたまた世界平和の使として、再び戦争の惨禍が到来せざるよう切望するとともに、さきの生命を実現し、科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わないというわれらの固い決意を表明する。」

 また、1987年に制定された名古屋大学平和憲章も資料として掲載されています。

 「大学は、戦争に加担するというあやまちを二度とくりかえしてはならない。われわれは、いかなる理由であれ、戦争を目的とする学問研究と教育には従わない。そのために、国内外を問わず、これら機関からの研究資金を受け入れない。また軍関係機関に所属する者の教育はおこなわない。」

 時同じくして、長男が、今日、関西地域の国立大学の前期試験に挑戦しています。

 長男は、理系の学部を受験しました。

 近未来に科学者になる息子へ、この本を高校の卒業祝いにプレゼントしようと思います。

 池内さんや島薗さんは、一方で、戦後、科学・技術の戦争責任が十分問われず、軍と学が軍事化路線を歩みつつあると指摘しています。

 この辺りの指摘を今を生きる私たち国民は、しっかり目を向けていかなければならないと思いました。

 再び戦争を起こさないために。

 島薗先生関連の著作から、多くのことを学ぶ日々です。

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