環境と福祉の充実を目指して

月別バックナンバー [ 2020年 08月 ]

相模原障害者殺傷事件 [2020/08/03 月 AM 06:24]

 1日付の毎日新聞の書評は朝日新聞取材班著「相模原障害者殺傷事件」を取り扱っていました。
 書評を行うのは、私が敬愛する学者の一人である東京工業大学教授の中島岳志さんです。
 中島さんは、書評で事件を起こした植松聖死刑囚についてこう書いています。
 「植松は切迫感に駆られる。日本の予算は逼迫しており、借金大国になっている。もう時間的にも金銭的にも猶予がない。そんな中、障害者に予算を回すことは、社会全体にとって『不幸』である。『障害者を安楽死させるべきだ』。そんな歪んだ思考が固着していく。」「植松曰く、障害者には『生産性がない』。障害者は『金と時間を奪っている』。施設で働くことは、現実を追認することになる。『有害』とみなした存在を除去することこそ、社会の役に立つことだと思い込むようになる。」
 その上で中島さんの考察はこうです。
 「事件以来、評者が気になってきたのは、植松が一貫して『美醜』という価値観に固執していることである。彼は事件直後に、ツイッターに『beautiful japan!!!!!!』と書き込んでいる。記者の『今やりたいことはあるか』という問いに、『脱毛がしたいですね。毛は邪魔で不愉快です。目から下の毛は必要ないです』と答えている。常に顔のむくみを気にし、美容整形の一手法の『ボトックス注射』をやりたいと述べている。実際、彼は事件前に美容整形手術を受けており、衆議院議長に宛てた手紙では『進化の先にある大きい瞳、小さい顔、宇宙人が代表するイメージ』を実現したいと述べている。社会から異質な存在を除去し、自らが美しいと思えるものだけに包まれたいと考えるのは、安易に優性思想や全体主義につながる。先日ALS患者嘱託殺人事件が発覚し、医師2人が逮捕された。私たちの日常と、植松の思考は地続きである。相模原障害者殺傷事件を問い続けなけらばならない。」
 私は、大学で障害者福祉を学んだものとして、相模原障害者殺傷事件の衝撃を今も忘れることは出来ません。まさに、事件から4年間、この事件を自分の心の中で問い続けた一人です。中島さんの書評を読み、書店で、この本を購入し、先ほど、読み終えました。この二日、空いた時間は、ただただこの本との格闘の時間でした。
 この本は、朝日新聞の記者たちの相模原障害者殺傷事件の裁判の傍聴記であり、植松死刑囚との対話記録です。
 植松死刑囚の発言は、対話記録にも出てきますし、裁判記録の中にも出てきます。今年の判決後の対話記録も掲載されています。
 とても残念なのは、植松死刑囚が、この本の中では、「意思疎通のできない障害者は生きる意味がない」主旨の発言を変えていないことです。
 そのことを知ったことが、この本の意義であるのかも知れません。植松死刑囚の「差別の深層」の一旦を知ることが出来る本だと思います。
 この本には、植松死刑囚によって殺され、傷つけられた障害者の遺族の方がたの発言を知る事ができます。それぞれの遺族にとって「かけがえのない存在」であった一人一人の障害者の方々の姿が浮かび上がってきます。
 この本には、多くの識者のコメントが掲載されています。社会学者の最首悟さんの言葉は、私の脳裏に焼き付いたままです。
 「現代社会には、生産性のない存在を始末するという思想が蔓延している。『重度障害者は不要』という考えはこの社会に生きる者とし到達したものとも言え、被告は全世界の若者に支持されると思っている。(中略)被告の回答には迷いがなかった。考えを曲げないということが良いと思っている。口にした『人間は美しいほうがいい』という言葉にも表れているが、外見が内実を決めると思い込んでいる。被告は人間の尊厳、平等、命の尊さを『タテマエ』として否定する一方で、自らは礼儀正しく振舞うなど、見た目をよくして『タテマエ』を重視している。被告が否定したのは、人間の、頼り頼られて生きるという性質。一人では生きることができないという弱さを失った社会は滅びるしかない。」
 植松被告への死刑判決後、コロナウイルス感染症のパンデミックが世界で、日本で拡大しています。
 人間の尊厳、平等、命の尊さという「タテマエ」の重要性に人類は向き合わざるを得なくなっています。
 人類は、コロナ危機に直面し、頼り頼られて生きざるを得なくなっています。
 私は、コロナ危機が、新しい希望ある日本と世界を拓く契機になることを期待しています。
 期待するだけではなく、これからも「相模原障害者殺傷事件」を問い続けながら、私自身、社会を変える主体として必要な発言を行っていきたいと思います。
 相模原障害者殺傷事件から4年が経過しました。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

国道490号(参宮通り)線でいくつかの改善 [2020/08/02 日 AM 08:29]

 この間、県民の方からの要望を県行政に伝え、いくつかの前進がありました。

 今日は、国道490号(参宮通り)線にかかわるいくつかの改善点について報告します。

 第一は、国道を北側から医大方面へ右折(西梶返交差点)する信号についてです。

 「青の時間が短く、国道北側車線が渋滞する」との要望を宇部警察署交通課に伝えました。

梶返信号

北側から医大側への右折信号の時間が延長される

 この程宇部署交通課の方から「西梶返交差点の右折青信号を6秒から10秒に伸ばす対応を取る」との報告が私に届きました。

 第二は、国道490号の西梶返交差点から沼交差点間の銀杏の植栽の枝が歩道に伸びている点です。

 「銀杏の枝が自転車や歩行者の通行の邪魔になっている」との要望を県宇部土木建築事務所に伝えました。

 先日、県宇部土木建築事務所の方から「植栽の剪定作業を行う」との報告が私に届き、この程、剪定が完了しました。

植栽剪定

歩行者の通行を邪魔する植栽の剪定作業が実施

 引き続き、皆さんの身近な要望を県行政に届けてまいりますので、皆さんの要望は藤本にお寄せ下さい。

帚木蓬生著「ソルハ」 [2020/08/01 土 AM 08:03]

 私が敬愛してやまない帚木蓬生さんの「ソルハ」が文庫として出版され、今、読んでいます。

 文庫の裏表紙からこの本の概要を紹介します。

 「1996年9月、アフガン政権崩壊。タリバンが首都カブールを制圧し、国民の意見を無視する圧政を敷いた。特に女性には教育の権利も外出の自由も存在しない。それでもビビは、勉強にも世界の動きにも好奇心旺盛な少女だった。生まれた時から戦争が日常の風景だったビビは、何を決意し、どんな支えを持って生き抜いたのか。平和へのメッセージを込めた渾身の一冊。第60回小学館児童出版文化賞受賞作。」

 この作品は、高学年以上に向けた児童小説といえます。とても読み易く、アフガニスタンを始め中東の状況がよく分かります。

 よくわかるからこそ、ビビを取り巻く戦場の光景に胸がつまります。

 タリバンが「女性には教育の権利も外出の自由も存在しない」圧政を敷く中で、これとたたかった少女パキスタンで生活していた当時16歳のマララです。

 マララは、タリバンに対する批判をブログに書き、テレビの取材に応じた直後、学校に向かうバスの中で、タリバンの兵士に撃たれます。

 九死に一生を得たマララは、2013年7月国連でスピーチを行います。

 彼女は演説の最後にこう述べました。

 「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、そして一本のペンが、世界を変えられるのです。教育以外の解決策はありません。教育こそ最優先です。」

 帚木さんは、この文庫の最後に手書きで「かつて子供だった大人のみなさんへ」というメッセージを寄せています。

 メッセージの最後はこう結ばれています。 

 「自分の国だけが平和であり続けるのは不可能です。平和から戦争への変化はあっという間であり、再び平和を取り戻すには、長い時間と大きな犠牲が必要です。私たちは平和な国にいるからこそ大人も子供も戦争の悲惨さに敏感でなければならないのです。」

 日本共産党は、パンデミック収束への国際協力を4点訴えています。

 第一は、医療・保険における大規模な包括的な協力。

 第二は、途上国に対する国際的支援。

 第三は、世界の紛争地での即時停戦、核兵器廃絶をはじめ軍縮を行い、コロナ対策に力を集中する。

 第四は、富裕層などへの課税でコロナ対策の財源をつくるなど、より公正な世界をめざす。

 志位委員長は記念講演で「パンデミックで明白になったことは、武力紛争がコロナ危機を破滅的なものとすることと、軍備増強がウイルスとたたかううえで何の意味ももたないことではないでしょうか。」と語っています。

 「自分の国だけが平和でありつづけることは不可能です。」の帚木さんの言葉通り、パンデミックの今、世界全体で、即時停戦と軍縮が求められていると思います。

 帚木蓬生著「ソルハ」は、まさに「平和へのメッセージ」が込められた渾身の一冊です。

 一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。

 パンデミックの中、平和について考えた皆さんのご意見をお聞かせ下さい。